INTERVIEW:北村みなみ(アニメーション作家/イラストレーター)

 

アニメーション作家・イラストレーターの北村みなみ。我々がプッシュしたい作家の1人である。彼女の作品はライトでカワイイ印象だ。しかし同時に、隅々まで考えが行き届いたストイックな作品だとも言っておきたい。今回は、最新の画集「UFO八景」を中心に制作のこだわりやプロセスについて伺った。

Edit & Design:Fusao Okaguchi Photography:Tomofumi Usa

 

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-「UFO八景」はとてもコンセプチャルな連作ですね。これらを制作する上で何か意識されたことはありますか?

形態としては、浮世絵の「富嶽三十六景」を元ネタにしています。一枚一枚の表題はバラバラながらも、全て共通して富士山が描かれていて、それによって一貫性が出るコンセプトがおもしろいなと思って。絵にバリエーションを出しつつ、コンセプチャルな作品集としてまとめたかったので、こういう形をとりました。

 

-意外な所からインスパイアされていますね。他に影響を受けた作家などはいますか?

画面の大胆さや省略のしかたなど、ビジュアル的にも浮世絵にはとても影響をうけていると思います。また、直接絵柄に影響をうけているかはわかりませんが、学生のころにフランスのコミック作家のメビウスの絵の美しさにショックを受けて、今でも毎日のように眺めています。

アニメーションでは、ビートルズのアニメーション映画「イエロー・サブマリン」がアニメーションを作り始めるきっかけになりました。ピーターマックスの絵やデザインも大好きです。

毎日tumblrやvimeoを眺めて、過去現在問わず流れてくる絵や映像からも刺激を受けてます。

 

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-「UFO八景」というタイトルなのに、UFOは小さく写り込んでいるだけだったり、引き算的な感覚が絶妙です。このモチーフにも何か思い入れがあるのでしょうか?

UFOをモチーフにした絵は前からよく描いてます。元々宇宙に関係する絵をよく描くのですが、UFOは科学的要素と同時にオカルト的な要素も含んでおり、とても好きなモチーフです。

「UFO八景」の中では、ただの事象というより、描かれている女の子の内面も匂わせるようなモチーフとして描いています。

昔、展示用に描いた2連作が今回の連作のベースになりました。記念写真に偶然UFOが映り込んでしまったようなシーンを描いてます。今とはだいぶ画風が違うのですが。

 

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昔、展示用に描いたという絵

 

-今の画風にシフトした事には何か理由があるのでしょうか?

当時は普通に線を描き、カラフルに色をつけて完成にしていました。でもそれだと、野暮ったい印象が残るような気がしていました。

試行錯誤して、線や色数を減らしていく手法をとりました。最近は輪郭線を全て描いた後、必ず線を選んで引き算しています。また、ただの「かわいい」絵からなるべく離れたいとも思っていました。

 

-北村さんの描く女の子は落ち着いた表情が多いですね。

実は個人的には「かわいい」より「かっこいい」を意識して描くようにしています。可愛い女の子を描く人はいっぱいいるので、自分だけのカラーを出したいなと。

 しかしあまり技術的に器用な方ではないので、まずはモチーフで違いを出せるようにと考えています。自分が「かっこいい」「気になる」と感じる、本当に好きなものを選択しながら描くように心がけています。

あと、無意識なのですが、描く女の子の色気の度合いにはとても気を使っていると思います。あからさまなエロスには振らず、でもどこか少し色気の漂う女の子になるように、探りながら描いています。

 

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-そういえば、地名表記の文字が不思議な形で面白いです。タイプデザイナーの方に書いてもらっているのですよね。

地名文字は、タイプデザイナー・グラフィックデザイナーの山田和寛くん(http://nipponia.in)が書いてくれました。作品集全体のデザインも山田くんにお願いしています。

絵のタイトルが地名になっているのも「富嶽三十六景」のパロディなのですが、山田くんがそれに気がついてくれて「この作品集は現代の浮世絵なんだね」と。そのコンセプトに沿って、「宇宙もじ」をテーマに可読ギリギリのタイプデザインをしてくれました。

 

-音楽ユニットbrinqのMV「baby baby feat. minan(lyrical school)」でも山田さんの文字をフィーチャーされてましたね。動きもとても可愛いです。

初めに楽曲を聴かせていただいた時に、まず冒頭部分はリリックビデオにしようと決めて、元々描き文字を制作していた山田くんに文字デザインをお願いしました。こちらは完全にポップな雰囲気で、単語ごとにデザインを変えたいとお願いしたので、フォントを使わず、なんと30種類近い描き文字を制作してくれました。

イラストと同じく、アニメも「かわいい」より「かっこいい」ものを目指して制作しているので、動きのキレや大胆さ・気持ちよさを第一に考えてアニメーションをつけました。

また、作品に必ず不可解な部分を作りたくて、「これは何だろう?」と思うような要素を入れています。一応私の中では全てに意味や理由をつけているのですが、説明しなくても感覚で解ってもらえたり、全く違う想像をしてもらうのも楽しくて。ミュージックビデオって何よりも不可解要素がプラスに働く媒体だと思っていて、制作していてとても楽しいです。

 

babybaby_i↑brinq「baby baby feat. minan(lyrical school)」より

 

-あと「SPACE SHOWER TV」のIDアニメーションも印象的でした。数十秒の映像なのに、密度が濃くて、どこで一時停止しても良い絵になると思いました。きっと相当な手間をかけてますよね。

スペシャのIDは、30秒と短いからこそ自分のやりたいことが注ぎ込めると思って、たくさんのキャラクターが踊って動く、盛りだくさんのアニメーションになりました。おっしゃる通り、短いがゆえにどこで止めても魅力的な絵になるように、特に女の子のアニメーションは1コマ1コマ力を入れてます。

毎日スペシャを見る方にはしょっちゅう見かける映像になるので、何度見ても楽しめるものにしたいと思って。めまぐるしく追っていたら、あっという間に終わってしまう、疾走感のあるアニメーションを目指しました。

これも最後は宇宙につながって、それが実は自分の内面だったというオチなので、UFO八景といい、そういう展開にロマンを感じているんだと思います。

 

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↑SPACE SHOWER TV STATION ID 2016 「The Great Little Journey」より

 

-動きにしてもイラストにしても、一貫した北村さんらしさを感じます。今後やってみたい仕事などはありますか?

イラストでは、CDジャケットなど音楽関係のお仕事があったらいいなと思います。音楽を媒介にすると、良い絵が描けたと感じる事が昨年はとても多かったので。女の子を描くのが得意なので、ファッション関係のイラストも描いてみたい。あと、物語など、本の表紙や挿絵をやってみたいです、とても難しい仕事だとは思うのですが……

アニメーションでは、やはりMVを制作していきたいのと、スペシャのIDのように30秒とか10秒とかの短いアニメーションを、1秒1秒に力を注いでたくさん作ってみたいです。お仕事ください!!

 

 

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北村みなみ

フリーのアニメーション作家・イラストレーター。 SPACE SHOWER TVやEテレ等のアニメーションから、インディーズミュージシャンのMVやCDジャケットまで、幅広く制作。ウェブサイト:http://www.kitamuraminami.com