INTERVIEW:草野絵美(Satellite Young)

 

1stフルアルバム「SATELLITE YOUNG」を12月にリリース予定の歌謡エレクトロユニット・Satellite Young。そのリリースを祝して、ヴォーカルである草野絵美さんに音楽への思いを聞いた。

 

Photography/Tomofumi Usa Interview & Text/Shu Kimura Title Design/Fusao Okaguchi

 

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2013年結成。広告会社に勤務する傍ら、マルチな活動をおこなうデジタルアーティストの草野絵美、クラブミュージック・メディアアートの分野で活躍するベルメゾン関根、ライブ演出にかかわるテクノロジー担当のサイボーグ人間、テレ・ヒデオからなる3人ユニットにて活動中

 

インディーズ文化に愛をもっているのが私の原点

 

–  フルアルバムのリリースおめでとうございます。早速聞かせてもらいましたが素敵な作品ですね! これはどういった狙いや思いが込められているのですか?

 

草野:いままでの曲を収録したベスト版になっています。最初の憂いのある『ジャック同士』明るい『フェイクメモリー』から始まり、『Break! Break! Tic-Tac!(ブレイク・ブレイク・ティクタク)』『Geeky Boyfriend(ギーキー・ボーイフレンド)』で、SatelliteYoungの世界観を固めていきました。そして、アメリカのレーベルから『Dividual Heart(ディビジュアル・ハート)』をリリースしたことによって海外シーンと連動し、より逆輸入な世界観に進化していきました。サテライトヤングのヒストリーがギュッと凝縮できたかなと…。

 

–  なるほど。草野さんが影響を受けた音楽が原点なんですね?

 

草野:まずビジュアル面では幼少期の影響が大きいと思います。父が懐古オタクだったため、実家の書棚には、各年代のファッションに関連する書籍かがたくさんあって、子供の頃から、これは70年代ヒッピーだね、これはスウィンギンロンドンを髣髴させるね、50年代のロカビリーもいいよねって…。年代の話ばかりお喋りしていた生意気な子供でした(笑)。小学生のころから中学生くらいは、昭和歌謡ばかり聞いていました。ピンクレディーから始まり、山口百恵さんや松田聖子さん、本田美奈子さんといった往年のアイドルを多く聞いていました。もちろんブリトニー・スピアーズや宇多田ヒカルさんなど流行のPOPSも大好きで聞いていたのですが、図書館で借りられるCDはタダだったのでよく利用していました。そこにあったCDが昭和歌謡ばっかりだったので(笑)それらをiPod miniに取り込んでいました。その後、R&Bなどに触れ、高校からは、Myspaceを利用して、インディーズのエレクトロバンドを発掘したり、Youtubeで昔の洋楽のアーカイブを聞くのが好きでしたね。とにかくいろんなジャンルを聞くのが好きですが、歌謡曲のメロディーに一番親しみを感じていて、アメリカのポップスのほうが聞いている絶対量が多く、とにかくインディーズ文化に愛をもっているのが私の原点です。

 

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最初は音楽をやりたいというよりも、現代社会における違和感を80年代のキラキラした世界で再現したいっていう願望がありました。

 

–  Satellite Youngが持つ独特な世界観もありそうでなかった?

 

草野:最初は音楽をやりたいというよりも、現代社会における違和感を80年代のキラキラした世界で再現したいっていう願望がありました。関根さんと知り合ったのは共通のアーティストを通して紹介してもらったのがきっかけで、お互い80年代好きのテクノロジー・ギークということもあってとても意気投合したんです。でも音楽を作るまでには至らなくて、1年くらいは何もしていませんでした。ある日突然『ジャック同士』が頭に浮かんで、鼻歌を録音して関根さんに送ると関根さんが曲をつけて送り返してきて、そういう作業をしていくうちに、週に一回ミーティングするようになっていき、Satellite Youngが始まっていきました。

 

–  二人にとっての良いものを掛け合わせていく感じですね。二人から三人になって、お互いの関係性に変化はありましたか?

 

草野:テレ・ヒデオが加入したことによって、ライブに演出が加わり、より世界観は拡張されました。サテライトヤングワールドをつくりあげるまでには、それなりに試行錯誤を重ねてきましたよ。このアルバムでいうと『フェイクメモリー』は80年代の明るい正統派アイドルをパロディーしながら作っている曲だし、『Dividual Heart(ディビジュアル・ハート)』あたりからは海外のRetro Waveシーンを意識した音作りとアートワークになっています。改めて当時の歌謡曲を聞き直してみると南野陽子さんや森高千里さんの音楽は海外のエレクトロシーンとリンクした音作りを感じます。

 

–  森高千里さんはアイドル路線とはいえ、実のお父さんもロカビリーバンドで活躍していたりと海外ミュージックの影響は確かにありそうです。

 

草野:Satellite Youngは昭和歌謡と世界中の80年代に生まれたエレクトロ音楽をリミックスして、海外に発信しています。逆輸入を繰り返して出来上がった感じです。コミックバンドにはなりたくないですが、基本的にはお茶目な感じを残していきたいですね。

 

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80年代歌謡のかっこいいところを最大化して世界に発信していきたい

 

–  80年代をさらに踏み込んだものになっている?

 

草野:80年代歌謡のかっこいいところを最大化して世界に発信していきたいです。来年(次のアルバムに向けて)はもう少し進化させていきたいと、メンバーと話しています。ただのリバイバルじゃなく新しいサウンドにしたいと思っています。

 

–  海外での人気が高いのも面白いな、と。

 

草野:まだ人気があるほどでもありませんが(笑)サウンドクラウド上のリスナーの多くはアメリカ人であるのは事実です。シンセウェーブっていうジャンルが北米、ヨーロッパを中心にネット上で人気があるんですけど、その人たちは『AKIRA』などの日本のアニメファンが多いんです。日本語でシンセウェーブを歌っている人が少なかったので、そういった人たちにウケたんでしょうね。SatelliteYoungはそういったシーンで脚光を浴びています(笑)。

 

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–  80年代のアニメ主題歌に近い雰囲気があるってことですよね。

 

草野:まさに『スナイパールージュ』はミッチ・マーダーと一緒に書いていて、当時の女スパイが主役のアニメの主題歌を意識しようと話して作り上げました。

 

–  これからの活動、今後どのような存在を目指しているのかが気になります。

 

草野:歌謡エレクトロという、ひとつのジャンルの成長に貢献していけたらいいなと思っています。アイドルのリバイバルをやっている人…ではなくて、あくまでも、コンセプチュアルなアーティストとしてやっていきたいですね。あとはライブパフォーマンスを積極的にやっていきたいです。私たちもワクワクしたいし、私たちの音楽を聴く人もワクワクさせて、みんなで盛り上がりたいですね!

 

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80年代の世界観を作り上げ、ブラッシュアップし現代社会へ問うサテライトヤングのファーストフルアルバムは必見! 2017年ミュージックシーンにおいてますます目が離せない存在になることだろう。